哲学する日記

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『ガリレオ』の外伝「内海薫 最後の事件』 感想

 「愚弄ぶ <もてあそぶ>」 「もてあそぶ」というのは、誰が誰をモテ遊んだのだろう?

普通に考えれば、上念研一(演:ユースケ・サンタマリア)が警察をモテ遊んだことになるのだろう。

暑苦しいほど正義の心が燃えていて、どうしても事実を明確にしないと気が済まない内海薫(演:柴咲コウ)は、暴走に近い形で迷宮事件を解決してしまいます。

ケイゾク』みたいなもんかな?

今回の事件のラスボスは上念・・・というと、そうでもない感じ。

上念は事件に偶然巻き込まれた被害者だったけど、そのことを逆手にとって自分を英雄にするというシナリオを考えて実行したという感じ。

だから二重構造かな?

最後は上念VS内海刑事になるけど、上念の本音を暴くというドラマとしては重要だったけど、微罪だという感じ。

上念の罪の数を数えてみよう。

1 他人のパソコンから勝手にメールを送った罪。

これが殺人予告とか爆破予告だったら大問題だけど。

2 自分が介護している人を東京に連れて行って殺してしまった罪。

死因ぬついては、被害者は元々身体が弱っていて、ホテルで泊まった時に亡くなったから、老衰と言える。

上念は死体に化粧をして、車椅子に乗せて連れ回したという感じ。

だから殺人の罪ではなく、遺体をモテ遊んだ罪ということになる。

3 他人の名前を語ってメールを出したら、殺されてしまった。

これは内海刑事も当麻刑事(演:柳楽優弥)に同じことをさせていた。

当麻刑事は、もう少しで当麻刑事が殺されるところだった。

だからこの罪は内海刑事にも当てはまる。

内海刑事の場合は、業務上過失致死未遂か?

また内海刑事が関岡刑事(演:伊武雅刀)に極秘情報を教えたことによって、情報提供の記者は殺されてしまった。

これは上念と同じ罪ではないだろうか?

これは法的な罪ではなく道徳的な罪だし、内海薫刑事や上念も殺されるとは思っていなかったので、仕方ないと言える。

 

内海刑事と上念は、協力して犯罪を解決したと言える。

上念が内海刑事を利用して解決したと言えるけど、上念の予想を遥かに超えた活躍を、内海刑事はした。

事件解決後、内海刑事は上念に怒りを感じて、上念を追い詰めた。

しかし内海刑事にも上念と同じ罪があると言える。

内海刑事は、自分が上念に利用されたことを怒ったわけではなく、利用されて死んだ人達の無念さと、上念の傲慢な正確に激しい怒りを感じた。

上念には内海刑事のような正義や犠牲の心はなく、警察に対する復讐と自分の頭の良さを見せつけようとする傲慢さだったりする。

そういう点では、二人は対照的な性格だ。

上念が内海刑事に出会ったのは偶然だけど(脚本家という神が作った必然)、他の刑事ではなく、内海刑事が長野県警に行くように操作したのは上念の作戦だ。

だから上念は内海刑事を選んだと言える。

「最初の出会い」から、上念の作戦ということにしても良かったと思う。

ラブホテルのシーンはおもしろかったけど、当麻刑事と極秘の打ち合わせをラブホテルでする必要はあったのだろうか?

喫茶店やファミレスだと盗聴されるのか?

あと最初はラブホテルしか空いてなかったから、ラブホテルに泊まるのは仕方ないけど、二度目は普通のホテルか警察の宿舎に泊まれなかったのかな?

 

また「殺人犯が長野県警の誰か?」と推測した時点で、一人ではなくチームを組んで長野県警に行くべきだったのでは?

「犯人の1人が当麻刑事か関岡刑事のどちらか?」という内海刑事の推理は正解だった。

 でももしかすると当麻刑事と関岡刑事の二人とも犯人グループだという可能性もある。

「実はラスボスは当麻刑事だった」というオチでもおもしろかった気がする。

ゲームオタクで一見頼りなさそうな若手刑事がラスボスだった!という衝撃の結末。

 

2時間ドラマだけど、飽きることなく見れた。

 人間心理を丁寧に描いていることが好感が持てる。 

伏線も活きうまくていて、脚本がよく練れていると思う。

 映像に派手さが少なく、地味というか暗い基調なのがいい。