大山誠一の「聖徳太子虚構説」批判 その1
大山誠一の「聖徳太子虚構説」は、「聖徳太子がいなかった説」ではなく、「実際の聖徳太子」は『日本書紀』に記載されているような人物とは違うという説です。
大山氏の説によると、『日本書紀』は嘘だらけそうだ。
例えば、
4 聖徳太子は政治には参加していなかった。
荒唐無稽な説ですし、話題になった割には専門家内では少数意見です。
大山誠一の説を批判するのではなく、大山氏より前に似た説を提示している人達がいるのに、「大山氏が無視していること」を批判したいと思っています。
学者なら、論文で他人の説を参考にしたなら、表記するのは義務です。
意図的に義務を怠っているなら、批判されるべきです。
大山氏が無視している人は、有名人では、推理作家の松本清張です。
講談社文庫から「清張通史」シリーズで出ています。
松本清張は古代史についてたくさんの文章を書いています。
大山氏の説は、松本清張の説のパクリと言っていいでしょう。
次は高野勉『聖徳太子暗殺論』
1985年に出た本で、松本清張の説を大胆に展開させています。
残念ながら絶版なので、復刊をして欲しいです。
「暗殺」と書いてありますが、これは「聖徳太子が殺された」という比喩であって、捏造されたと同じ意味です。
「本当の聖徳太子は違う」説です。
関裕二は『聖徳太子は蘇我入鹿である』を書いた後に、読者から高野勉の本を紹介されて読んで驚いたそうです。
次は石渡信一郎の本です。林順治が石渡氏の説を紹介しているので、林順治の読者は知っているでしょう。
また河出書房文庫から『完本 聖徳太子はいなかった』が復刊されています。
松本清張、関裕二、石渡信一郎の本を入手が簡単なので、具体的な内容は紹介しません。
しかし高野勉の本は状況が他の作家と違い過ぎるので、具体的な内容の紹介をして行きたいと思います。